立山砂防工事専用軌道は、国土交通省北陸地方整備局立山砂防事務所が管轄する工事用軌道。(以下「立山砂防軌道」と略す。「立山砂防トロッコ」という場合もあり)。常願寺川流域の砂防施設の維持管理に伴う資材・人員の輸送を目的とする作業用鉄道である。鉄道事業法の適用を受けない鉄道だが、18キロ近い長距離の区間に38段のスイッチバックがあり、一部区間では18段に及ぶ連続スイッチバックがあることで有名。18段連続スイッチバックは世界最大規模とされる。平均勾配35.6‰、最大勾配83.3‰ 標高差640.29mという、超本格的な山岳鉄道である。
一般営業はしていないが、地元の立山カルデラ砂防博物館が主催する「野外体験学習会」に参加することで、全線を乗車することが可能。乗車できる非鉄道事業者の鉄道としては日本最長。
見学者は1回あたり約40名で、それが2班に分かれ、「登り」「下り」のどちらかに乗車する。どちらに乗るかは選べない。ディーゼル機関車が人員輸送車3両を牽引する。人員輸送車は横3人がけ座席の9人乗りでやや狭い。千寿ヶ原発の場合、景色は右窓がよい。申込み倍率は2〜7倍程度。
また千寿ヶ原付近に設置されている訓練軌道を利用して、体験乗車会が催されることがある。訓練軌道は約1.8kmあるが、乗車できるのはこのうち800m程度。「本線」とは別の路線である。年数回のイベント時に実施されるが、最近は実施されていないようである。
種別 作業用鉄道
開業 1998年(体験学習会の開始年)
区間 千寿ヶ原連絡所〜水谷連絡所
距離 17.7km
駅数 6駅(軌道連絡所数。千寿ヶ原、中小屋、桑谷、鬼ヶ城、樺平、水谷)
所要 105分
軌間 610mm
車両 ディーゼル機関車5tB形9台(1980年〜2000年北陸重機製)、ガソリンモーターカー4台(1980〜2000年北陸重機製)、人員輸送車16台、運搬車104台
料金 1700円(体験学習会参加料)
運転 千寿ヶ原連絡所10:20発→水谷連絡所12:05着、水谷連絡所14:35発→千寿ヶ原連絡所16:20着。体験学習会は7月〜10月頃の週1〜2回。
交通 富山地方鉄道立山駅より徒歩1分